日時:2011年11月21日(月曜日)9時30分~12時30分
会場:KKRホテル東京11階 孔雀
稲津委員、岩尾委員、笠井委員、川合委員、工藤委員、上妻委員、齋藤委員、泊委員、二宮委員、平尾委員、森委員
(出席11名、欠席2名)
特別委員
Jennifer Morgan特別委員(WRI)、Pankaj Bhatia特別委員(WRI)、Thierry Berthoud特別委員(WBCSD)、Andrea Brown特別委員(WBCSD)、Jan-Uwe Kluessendorf特別委員(WBCSD)
- GHGプロトコルの紹介、新たなバリューチェーン及び製品ライフサイクル基準の概要
- GHGプロトコル、新たなバリューチェーン及び製品ライフサイクル基準‐企業の視点から‐
- GHGプロトコルの新しい基準に対する日本からのフィードバック
- GHGプロトコルの取組のまとめと今後のステップ
- 持続的な経済成長と温室効果ガス削減に向けた我が国の新たな提案
- 議題1、及び議題4についてGHGプロトコルより説明が行われた。
- 議題2についてBASFより説明が行われた。
- 議題3及び議題5について事務局より説明が行われた。
- 議題1~5の全てを対象とした意見交換が行われた。
議題1の中で、議題3(資料5)の一部について下記の回答がなされた。
- (資料5の3について)根拠を示せばカテゴリ単位で除外してもよい。除外した部分については、必要に応じ、時間をかけて算定範囲に加えていけばよい。
- (資料5のgについて)セクター別ガイドラインの必要性を感じている。
- (資料5のmについて)水や大気への影響も本基準と同じ方法で評価することができる。
- (資料5のoについて)Product基準はISO 14044やPAS 2050とも整合性を有している。また、コンシューマー・グッズ・フォーラムやサステナビリティ・コンソーシアムでも本基準の採用を表明している。
以下、委員からのコメント・質問に対してGHGプロトコル側(特別委員)が回答する形式で意見交換・質疑応答が行われた。(ただし、Q8、Q9はGHGプロトコル側の質問に対する日本側の回答)
目標は何を意味する設定ありません
Q1:新たな基準に取り組む目的とメリットは何か。
A1:第一にスコープ3基準に沿ってサプライチェーン全体のGHG排出量を算定することで、排出削減の可能性がある部分を見つけることができる。また、排出削減は効率性の向上にもつながり、コストも削減することができる。第二に、格付け機関や金融機関は企業のGHG排出報告についても評価しており、それらの透明性が必要になっている。第三に、今後策定される可能性のある義務的な報告制度への対応への準備にもなる。(Morgan特別委員)
Q2:スコープ3基準に沿った算定は企業にとって負担になるのではないか。
A2:何年もかけて導入するもので、データが蓄積されれば更新作業等の通常業務の一環となる。GHGプロトコルの基準は、それぞれの企業が算定を行う目的を定義してよいため、価値を生み出す領域に注力し、メリットと負担を比較しながら運用する戦略的なツールになり得る(Berthoud特別委員)。
Q3:特に途上国もしくは中小企業に対する、スタンダードのマーケッタビリティをどのように考えているのか。
A3:報告企業のスコープ3はサプライヤーのスコープ1と2であるため、まずはそれらを報告してもらうことから始めると簡単で定量化もしやすいと考えている。GHGプロトコルでは、企業がサプライヤーからのデータ収集を円滑にできるように、ユーザーフレンドリーなツール、テンプレートを開発したり、各国(インド、中国、ブラジル等)でトレーニングを行ったりする予定である。また現在GEやウォルマートとトレーニングのカスタム化について協議しており、彼らのサプライチェーン会議時にサプライヤーを含めてトレーニングを実施するようなことも検討している(Bhatia特別委員)。
Q4:Built on GHGプロトコルのロゴの検討状況について
A4:GHGプロトコル・スタンダードに基づくプログラムがロゴを使用できるように検討している。企業が使うものではなく、CDPなどのプログラムが使うことを想定している。ロゴに関するガイドラインを現在検討中で、近いうちに発行を予定している(Bhatia特別委員)。
Q5:水など、GHG以外のインパクトについてスタンダード化の予定はあるのか。
A5:GHGプロトコルの戦略・ビジョンを再度考え直し、GHG以外のインパクトへの拡大がなされている中での私たちの役割について来年にかけて議論し、ステークホルダーにGHGプロトコルの最終的なポジションを提示できるようにしたいと考えている(Bhatia特別委員)。
GHG以外のインパクトについても目を配っている。WBCSDのグローバルウォーターツールやWRIでも水に関する取組を実施しており、これらと協同して取組が始まってきている(Brown特別委員)。
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Q6:下流の排出は、出荷先から加工データを取得できないために、排出量を算定することができないことが多い。この場合は除外していいのか。
A6:重要性(significance)がないことを条件に除外することができる。BASFの例では、リース資産については重要性がない(only limited degree)ため除外した。製品の加工については、BASFの製品は加工されてさまざまな製品となるため、加工プロセスをすべて入手することは難しい。そのため入手可能なデータを活用して、閾値である、排出量の80%をカバーした。また、廃棄についてはカーボン、生産のインプットをもとに、入力したカーボンは全て焼却されてCO2として排出されると前提して計算を実施した(Kluessendorf特別委員)。
カテゴリを除外することはできるが、基準では除外ができる条件が示されている。重要性(significance)がない場合、データ収集ができない場合には除外の対象となる。例えば、家電メーカーや自動車メーカー等が、使用段階に関するデータがないため除外したと主張した場合はあまり信憑性がないと言える(Bhatia特別委員)。
Q7:投資家の観点から考えると、スコープ3の総量値は企業の全体像を理解するために役立つが、企業がどのようなリスクとチャンスを有するかを分析、評価するためには曖昧ではないか。例えば、自動車であればスコープ3の総量よりも燃費等の効率性に関する情報の方が有用であるという指摘も投資家からある。
A7:GHGプロトコルは、排出の報告はインベントリととらえており、燃費等の効率性に関する情報はオプションで示すことが可能。投資家向けの情報は、CDPやダウジョーンズなどが投資家と協力しながら検討していくとよいと思う。WBCSDが関与している部分ではGHGワーキンググループにおいて、投資家が適切な投資決定ができるようにするために、投資家コミュニティと協力して彼らのニーズを理解しながらカーボンディスクロージャーを検討している。まだ取組ははじまったばかりで今後1年から1年半くらい議論を重ねていく予定である(Brown特別委員)。
Q8:持続的な経済成長と温室効果ガス削減に向けた我が国の新たな提案(資料6)についてコメントをお願いしたいあ。
A8:削減貢献について、既存のGHGプロトコルの手法をベースに貢献量を算定できるか検討したいと思う。削減貢献量の算定は企業・ビジネスにとって魅力的なものであるが、環境という観点では、製造された製品やサービスによって排出増加につながっている部分もみなければならない。完全な算定枠組みではこの両サイドを考慮していかなければならない。(Bhatia特別委員)
どのように出荷経済
Q9:GHGプロトコルの自発的な取組が国連の気候変動枠組み条約の置き換えとなるのか、補完するものになるのか、どのように考えているか(Morgan特別委員)。
A9:企業の自主的な取組がサプライチェーンを通じて、新興国も含めて削減を促進する効果を持っていることは重視すべきと考えている。自主的な枠組みで全てが解決するとは考えられないが、このような自主的な取組をいかに促進していくかは非常に重要なテーマであると考えている。
Q10:企業はGHG削減の意欲を有しているが、最終消費者には意欲があまりない場合がある。特に消費財は最終消費者での削減が重要であるが、最終消費者の活力を取り込むことをどのように考えているか(Berthoud特別委員)。
A10:消費者1人1人の力は小さいが、毎日の積み重ねにより大きな力となり得る。そのために消費者にどのように伝えて、巻き込むかが重要であると考えている。
Q11:素材産業においては、製品使用時にGHG排出量を削減することができる高機能な素材を製造するときにGHG排出量が増えるケースがある。このようなケースを削減貢献で評価したいという声が大きい。また、リサイクルについてもスコープ3基準ではメリットが評価されないケースもある。
A11:様々なセクターでの削減貢献に関する取組の中で得られた教訓や経験をGHGプロトコルはどのように活かすことができるかを考えていく。削減貢献にビジネス上のニーズがあることや、今後パートナーシップを組んで議論していく必要があることは認識している(Brown特別委員)。
削減貢献についてBASFやその他鉄鋼業界で例をみても既存の手法(プロトコル)は土台にはなり得ないと思う。このシステムの完全性を損なうことなく、どのように簡易化していくことができるかを考える必要がある。リサイクルに関してもGHGプロトコルで提供しているものがニーズを満たしているか評価する必要がある(Bhatia特別委員)。
Q12:削減貢献に関する取組はGHGプロトコルにおいて既に進行しているのか。
A12:削減貢献のニーズがあることは理解しているが取り組んではいない。来年の初めに検討を行う計画である(Bhatia特別委員)。
現在、国際的には削減貢献についてサポートする方向にはなっていないという認識であるが、今後考えられるのはセクター別のメカニズムで対応する方向になるのではないかと思う。(Morgan特別委員)
削減貢献についての議論は非常に満足している。しかしながら削減貢献のイニシアチブは、NGOへの説明を含め透明性の観点でしっかりした準備が必要となる。そのため、BASFといった個々の企業が市場を試していくことも重要だと考えている。(Kluessendorf特別委員)
Q13:削減貢献については、GHGプロトコルが発行したプロジェクト・プロトコルで方法論がいくつか提案されている。たとえばベースライン設定手法としてパフォーマンス・スタンダード(※1)とプロジェクト・スペシフィック(※2)の考え方が書かれている。既存の枠組みでも、削減貢献に関する議論はできるところがあるので、セクターごとに議論を行い、良いものを目指していくのが良いのではないか、と考えている。
A13:プロジェクト・プロトコルなど、プロジェクトレベルの算定手法を適用して、セクターレベルで簡素化し、削減貢献を計算するという方法は正しいと思う(Berthoud特別委員)。
(※1)Project-Specific Procedure 「プロジェクト固有の手法」
(※2)Performance Standard Procedure 「パフォーマンス・スタンダード手法」
Q14:スコープ3の排出量を算定、公表したときに、報告企業が意図せざる評価を受ける可能性があると考えられる。GHGプロトコルで、算定結果の評価について、何らかの指針やガイドラインを検討されているのか。
A14:比較に関しては非常に慎重に扱わなければならないと考えている。企業組織が企業間の比較をすることは競争法上の問題があると考えている。そのため、比較は独立した組織が実施するべきと考えている(Berthoud特別委員)。
報告者、格付機関、NGOなどあらゆるステークホルダーにこの基準を理解してもらうことが重要であると考えているので、トレーニングプログラムを行っている。ただし比較やランキングのためではなく、あくまで情報をできるだけ正確に知り、基準をできるだけ正確に使用してもらうためのものである(Morgan特別委員)。
Q15:情報利用者によって知りたい情報が異なるため、すべてのステークホルダーのニーズに合わせた報告枠組みを作成することは難しいと思われる。どのように検討していくのか。
A15:対象者のニーズ全てを満たすことは難しいため、情報利用者との対話をしながら、対処していきたいと考えている。また、基準を用いたCDPなどのプログラムが、基準には不足している部分について追加のガイダンスを提供することが考えられる。正確に基準を解釈してもらうために、GHGプロトコルはガイダンスに対してフィードバックをしていく予定である(Bhatia特別委員)。
以上
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